サービス提供記録とは…
1.訪問介護のサービス内容や介護報酬の請求が適正であることを証明する非常に重要な資料です
訪問介護の事業所は、訪問介護サービスを提供した場合には、具体的なサービスの内容を記録するとともに、ご利用者さんやご家族の方から申し出があった場合には文書の交付やその他適切な方法によって、サービスの内容をご利用者さんやご家族の方に対して提供する必要があります。
また、サービス提供記録は、介護保険の対象となる適正なサービスを提供したことを証明する書類であり、介護報酬を請求する際の根拠となる非常に重要な書類のひとつとなりますので、訪問介護の実地指導の際には必ず確認されるとお考えください。
かなり細かく確認されることもありますので注意が必要です。
実地指導の結果、サービス提供記録に記載漏れなどの不備があり、適正なサービスを提供したことが確認できない場合には、介護報酬の返還の対象になる場合があります。
また、不正な記録(サービスを行なっていないにもかかわらず介護報酬を請求している)と認められた場合には行政処分の対象となる場合があります。
2.ご利用者さんに対するサービスの質の向上につながる資料です
提供しているサービスがご利用者さんの課題解決につながっているかなどをサービス提供責任者が把握して情報を共有できるような記録とすることによって、ご利用者さんに対するサービスの質の向上につながります。
サービス提供責任者は、ヘルパーさんに対してサービス提供記録の重要性について周知徹底を図るとともに、ヘルパーさんが適正にサービス提供記録を作成していることを確認することが必要です。
また、必要に応じてアドバイスや指導をすることも大切です。
サービス提供記録に記載すべき事項
サービス提供記録は事業所ごとの様式で作成してかまいませんが、適正なサービスを提供したことが確認できるように以下の事項を記載することが必要です。
- 利用者氏名及び訪問介護員氏名
- 訪問介護のサービス提供日及び提供時間
- 身体介護・生活援助・通院等乗降介助の別
- 提供した具体的な身体介護サービス及び生活援助サービスの内容
- 利用者の心身の状況
より良いサービス提供記録とするために…
サービス提供記録は、ご利用者さんに対するサービスの質の向上につながる資料のひとつとなりますので、毎回同じような記載内容ではなく、訪問した日の体調、その日の出来事やご利用者さんと話した内容など、訪問した日のことを細かく記載しておきましょう。
これらの記録は、毎回のサービス提供の前後にも活用できますし、会議にも活用することができます。
なお、ご利用者さんの状況を把握し、ヘルパーさんとの間で共有することは、特定事業所加算を算定する上で非常に重要な要件のひとつとなります。
もちろん、実地指導の際にも記載内容について指摘される可能性があるとお考えください。
ご利用者さんの確認の押印
ご利用者さんの確認印の欄を設けたサービス提供記録の様式を使用している場合は、必ずご利用者さんから確認の押印をいただくべきですし、サービス提供記録には必ずご利用者さんの押印をいただく必要があると考えておくべきだと思われます。
なお、ご利用者さんの確認の押印は、毎回、サービス提供の都度にいただくものであり、後日にまとめて確認の押印をしていただくことは適切ではありません。
サービス提供責任者は、サービス提供記録の作成とご利用者さんの押印は、毎回、サービス提供の都度に必要だということをヘルパーさんに徹底し、必要に応じて記載方法などをアドバイスする必要があります。
サービス提供記録の保管期間
サービス提供記録は5年間保管する必要がある自治体が多いようです。
実地指導で確認されるポイント
- すべてのサービスについてサービス提供記録が作成されているか
- 訪問介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか
- 日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記しているか
- 毎回、同じ内容になっていないか
サービス提供記録に利用者の心身の状況等を具体的に記載しているか(毎回、同じ内容になっていないか)、ヘルパーさんに対するアドバイスがされているかなど、事業所(管理者.サービス提供責任者)の実態が反映されやすいところですので、常日頃からしっかり管理してください。
→ 訪問介護の実地指導について、詳しくはこちらをご覧ください
参考資料(指定居宅サービス等の事業の運営に関する基準)
(サービスの提供の記録)
第十九条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。※読みやすくするために、条文を少し修正や省略をしているところがありますのでご了承くださいますようお願いいたします。
最後までご覧いただきありがとうございます。
実は、少しの間ですが、私自身も訪問介護の事業所の役員をしていた経験があり、その際、実地指導の対応や立ち合いもさせていただいた経験があります。
微力ながらあなたのお手伝いをさせていただくことができれば幸いです。ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。
行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)