加算率とキャリアパス要件

処遇改善加算

今後、ヘルパーさんなど介護職員さんを募集するためには必ず処遇改善加算が必要だとお考えください

例えば…
訪問介護の事業所の場合、処遇改善加算Ⅰを取得した場合には加算率は13.7%になりますので、仮に1時間の介護報酬が3000円だとすると処遇改善加算は約400円になります。

処遇改善加算は全額をヘルパーさんなど介護職員さんに支払う必要がありますので、処遇改善加算がある事業所とない事業所とでは、当然ながらの時給が異なってしまいます。

特に訪問介護の事業所の場合には、ヘルパーさんを募集したりヘルパーさんの離職率を下げたりするためには必ず処遇改善加算が必要だとお考えいただいていいと思います。

なお、訪問介護など特定処遇改善加算の加算率が高い場合には、ヘルパーさんなど介護職員さんを募集する際に、他の事業所と差を付けることができますので、特定処遇改善加算も積極的に取得されることをおすすめいたします。

主な介護保険サービスの処遇改善加算の加算率

加算Ⅰ 加算Ⅱ
訪問介護 13.7% 10.0%
デイサービス
(通所介護)
5.9% 4.3%
特定施設入居者生活介護
(有料老人ホーム・軽費老人ホーム)
8.2% 6.0%
認知症対応型通所介護 10.4% 7.6%
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
10.2% 7.4%
認知症対応型共同生活介護 11.1% 8.1%
介護老人福祉施設 8.3% 6.0%
MEMO
例えば、訪問介護の処遇改善加算Ⅰを取得した場合には加算率は13.7%になりますので、仮に1時間の介護報酬が3000円だとするとヘルパーさんに対する処遇改善加算は約400円になります。

主な障害福祉サービスの処遇改善加算

加算Ⅰ 加算Ⅱ
居宅介護 30.2% 22.1%
重度訪問介護 19.2% 14.0%
同行援護 30.2% 22.1%
行動援護 25.4% 18.5%
放課後等デイサービス 8.1% 5.9%
児童発達支援 7.6% 5.6%
グループホーム
(共同生活援助)
7.4% 5.4%
就労移行支援 6.7% 4.9%
就労継続支援A型 5.4% 4.0%
就労継続支援B型 5.2% 3.8%

処遇改善加算の対象となる「介護職員」の範囲

訪問介護

処遇改善加算は、介護職員として介護サービスに従事している方が対象となります

処遇改善加算は、正規職員やパートなどの雇用形態は関係なく、訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員、生活支援員、児童指導員、保育士、障がい福祉サービス経験者、世話人、職業指導員、就労支援員など、介護職員として介護サービスに従事している方が対象となります。

なお、介護サービスに従事しない管理者やサービス管理責任者などは支給の対象とはなりません。

また、他の職種だけに従事している方は対象となりませんが、業務の支障がない範囲で介護職員と兼務している場合は加算対象になります。ただし、この場合には、雇用契約書などの職務内容に介護職員としての業務が明記されていることが必要です。

◉法人の役員が介護業務を行っている場合には処遇改善加算となるか?

原則として、役員報酬のみを支給されている役員は処遇改善加算の対象となりません。

ただし、役員が介護職員としての勤務実態があり、支給されている金銭が、役員報酬ではなく、労働の対価として給与の性質がある場合は加算対象となります。この場合には、雇用契約書や勤務表などにおいて労働者性があることが客観的に判断できるような書類を整備しておくことが必要です。

なお、法人代表者(代表取締役、代表社員)は処遇改善加算の支給対象になりませんのでご注意ください。

注意
社労士や行政書士の中には法人代表者(代表取締役、代表社員)も処遇改善加算の対象となると考えている方もいらっしゃるようですが、実は間違いです。実地指導などで指導と返金の対象となる可能性がありますので注意が必要です。

◉一部の介護職員を処遇改善加算の対象としない(例えば、一時金で処遇改善加算を行う場合に、一時金支給日に在籍している者のみに支給する)ことはできるか?

処遇改善加算の算定要件は「賃金改善額が加算額を上回る」ことであり、事業所(法人)全体として賃金改善が要件を満たしていれば、一部の介護職員を対象としないことは可能です。

ただし、あらかじめ、賃金改善の対象者、支払いの時期、要件、賃金改善額等について計画書等に明記し、すべての介護職員に周知しておかなければいけません。また、介護職員から加算に係る賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員についての賃金改善の内容についてわかりやすく説明することが必要です。

処遇改善加算の支給方法

処遇改善加算

賃金改善とみなすことができるもの(処遇改善加算を充てることができるもの)とは

処遇改善加算を充てることができるもの
  • 基本給のベースアップ
  • 定期昇給
  • 手当
  • 賞与
  • 一時金
  • 賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分

なお、基本給による賃金改善が望ましいとされています。

◉賃金改善とみなすことができないもの

福利厚生費、退職手当、職員の増員、交通費、通信費、研修費、資格取得費用 (テキスト購入等)、健康診断費、予防接種費用、慰安旅行の費用負担、図書カード・商品券等の支給、物品購入費用、講習会受講料などは賃金改善とみなすことができず、処遇改善加算を充てることができませんのでご注意ください。

◉賃金改善額に含まれる法定福利費とは?

賃金改善額には、処遇改善加算による賃金上昇分に応じた、法定福利費(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料等)における事業主負担増加分などが含まれます。

◉処遇改善加算を賃金に充当することによって最低賃金を満たすことができるか?

最低賃金制度の趣旨を考えると、処遇改善加算によって最低賃金を満たすことは適切ではないため、最低賃金を満たしたうえで、加算額を上回る賃金改善を行う必要があります

例えば、基本給を時給900円として、処遇改善加算を100円支給して、時給1000円とするようなことは適切ではありません。

◉実績報告時において賃金改善額が加算額を下回りそうな場合にはどうすればいいのか?

賃金改善額が加算額を下回ることはできませんので、一時金や賞与として支給することによって賃金改善額が加算額を上回るようにする必要があります。

賃金改善実施期間の設定方法

処遇改善加算の期間は、原則として、4月(年度の途中で加算の算定を受ける場合には当該加算を受けた月)から翌年の3月までとなります。

なお、年度における最初の加算対象月(年度当初より加算を算定する場合は4月)からその年度の最終加算支払月の翌月(翌年6月)までの間の任意の連続する月の範囲で賃金改善期間を選択することもできます。

処遇改善加算Iを取得するためには「キャリアパス要件ⅠからⅢ」と「職場環境等要件」の算定要件を満たす必要があります

要件
加算Ⅰ キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのすべてと職場環境等要件を満たしていること
(キャリアパス要件についてはこのページの後半に記載しています)
加算Ⅱ キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱと職場環境等要件を満たしていること
加算Ⅲ キャリアパス要件Ⅰ又はⅡのどちらかと職場環境等要件を満たしていること
処遇改善加算を取得するためには就業規則と労働保険の加入が必要です
処遇改善加算を取得するためには、「就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること」が必要です。また、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入が必要です。

当事務所(保労士.行政書士)では、処遇改善加算の申請だけでなく、就業規則(キャリアパス表含む).賃金規程の作成や労働保険(労災保険と雇用保険)の加入手続きをさせていただくことも可能ですのでご安心ください。

キャリアパス要件Ⅰについて

キャリアパス要件Ⅰとは
次のイ、ロ及びハの全てに適合すること

  • イ 介護職員の任用の際における 職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること
  • ロ イに掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること
  • ハ イ及びロの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること

◉「介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めていること」とは?

これは、介護福祉士などの資格要件、経験年数、介護技術、研修受講歴、過去に従事していた職務内容を踏まえて、職位や職責(例えば、介護長、主任、副主任、一般)などを定めることを指します。

◉「職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)を定めていること」とは?

これは、「職務や職能に応じた等級を定めそれに応じた基本給を定める手法」「役職、資格、能力、経験又は職務内容等に応じた手当を定める手法」「それらが総合的に連動する手法」などが想定されます。

なお、「賃金体系を定める」とは、賃金体系を明確化することを求めているものであり、ベースアップを求めている訳ではありません。

また、「一時金などの臨時的に支払われるもの」とは就業規則に記載がなく、経営者の裁量で支払われるものを指しているため、所定内給与における体系を整備することが求められます。

キャリアパス要件Ⅱについて

キャリアパス要件Ⅱとは
次のイ及びロの全てに適合すること

  • イ 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること
    • 一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT 等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと
    • 二 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること
  • ロ イについて、全ての介護職員に周知していること

◉「資質向上のための目標」とは?

下記のような目標が想定されますが、運営状況や介護職員のキャリア志向等を踏まえ適切に設定することが必要です。

  • 利用者のニーズに応じた良質なサービスを提供するために、介護職員が技術や能力(例えば、介護技術、コミュニケーション能力、協調性、問題解決能力、マネジメント能力など)の向上に努めること
  • 事業所全体での資格等(例えば、介護福祉士、介護職員基礎研修、訪問介護員研修など)の取得率向上

◉「資質向上のための計画」とは?

「資質向上のための計画」については、特に様式や基準などは設けられておらず、事業所の運営方針や事業所が求める介護職員像及び介護職員のキャリア志向に応じて適切に設定することが必要です。

なお、「資質向上のための計画」については計画期間などの定めは設けておらず、必ずしも賃金改善実施期間と合致している必要はありません。

◉「介護職員の能力評価」とは?

「介護職員の能力評価」とは、個別面談、自己評価に対して、先輩職員、サービス提供責任者や管理者が評価を行う手法が考えられます。

キャリアパス要件Ⅲについて

キャリアパス要件Ⅲとは
次のイ及びロの全てに適合すること

  • イ 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の一から 三までのいずれかに該当する仕組みであること
    • 一 経験に応じて昇給する仕組み
      「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること
    • 二 資格等に応じて昇給する仕組み
      「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
    • 三 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
      「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
  • ロ イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること

職場環境等要件について

職場環境等要件とは
  • 職場環境等要件の「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の取組を実施すること
  • すべての介護職員に周知していること

最後までご覧いただきありがとうございます。

ヘルパーさんの時給と処遇改善加算の設定は非常に大切です。

微力ながら処遇改善加算と特定処遇改善加算の申請のお手伝いをさせていただくことができれば幸いです。ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。

行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪府大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)
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大阪市を中心として、大阪府全域(堺市.東大阪市.豊中市.枚方市.高槻市.吹田市.茨木市.八尾市.寝屋川市.岸和田市など)から尼崎市.西宮市.神戸市.京都市までの指定申請や処遇改善加算申請などに対応させていただいております。


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